今、ここ、どこか4 Hika
- 川上 まなみ
- 6 時間前
- 読了時間: 3分
ぶんぶんチョッパーについて 武田ひか
ぶんぶんチョッパーといえば、私の一番好きな調理器具である。
知ってる? みじん切りをするための道具で、野菜を入れて紐を引くだけで、野菜が木っ端微塵になるというすぐれもの。3コインズやダイソーでも買えるし、ちょっと良いものを買っても2000円しないくらいだと思う。
みじん切りの面倒くささは計り知れない。料理をする人なら共感していただけるよねと思うのだが、それはもう面倒くさい。この切り方をしましょうとレシピサイトに言われる頻度の割に、大変すぎるし、ぜんぜん楽しくない。頻繁にミートソースを作り置きとして作るのだが、そのたびひどくイライラしてしまう。みじん切りした野菜が包丁の側面にいちいちくっついてくるし、どんな切り方よりも時間がかかる。
そうして、みじん切りさえなかったらもっと料理が楽しいのにと思っていたら、2020年のタイムラインに流れてきたのがぶんぶんチョッパーだった。それ以来、わたしの自炊頻度は明らかに増えることになる。
チェコに持ってきたものは少ない。少なすぎるのかもしれない。15冊程度の紙の本と、PCなどのガジェットと薬と服。パンツ五枚は少な過ぎて、そろそろ買い足さないといけないと思っているところだ。加えて、ぶんぶんチョッパー。落ち着いてきたし自炊をはじめるかと思った時点からの大活躍。鳴り物入りとはこのこと。現地の玉ねぎやにんじんをものの数分で粉微塵にしてくれている。
わざわざ持ってきたのはもしチェコにぶんぶんチョッパーが普及していなかったら、料理をする頻度が減ってしまうなと不安に思ったからだ。もしこの国でビジネスをはじめるなら、まずはぶんぶんチョッパーの市場調査をするだろう。正直、チェコに同じようなものがあるのかどうかは全然知らんのだけど、いまのところぶんぶんチョッパーの噂は聞かない。どんな国でもみじん切りはあるはずで、もし無いのだとしたら今がチャンス。
ところで、こちらへ来てからまだそこまで時間が経っていないにもかかわらず、すでに食べたい日本食がある。餃子。餃子である。こちらには中華料理店が日本ほどはなくて、加えて、出国の一カ月前に餃子パーティをなんども催したからかもしれない。餃子といえばこの調理器具がもっとも輝く場所でもある。ただでさえ時間のかかる餃子のなかでも「野菜を刻む」という一番地味な工程をショートカットできる。しかしいまのところ、こちらで餃子パーティをする機会はなさそうだ。ざんねん。
つまり自分が日本に行く際にはぜひ餃子パーティに呼んでいただきたいと思っている。キャベツや白菜やニラなど、みじん切りにしてみせますので。ぶんぶんチョッパーで。
揚げ餃子手づかみで食む指の間を油が〈今〉が滴り落ちる/大森静佳『カミーユ』
揚げ餃子にホーショールのルビ。餃子の歌ってこれしか思いつかない。餃子は最後にサラダ油で揚げ焼きするとおいしいのである。強火でおもいっきり。
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