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今、ここ、どこか16 Hika

  • 執筆者の写真: 川上 まなみ
    川上 まなみ
  • 2025年11月22日
  • 読了時間: 3分

花園神社について 武田ひか



日本という土地を遠くに思い出す時、直近で過ごした東京という場所が浮かんでくる。新宿といえば、東京に住んで長い友達に聞けば「集合場所としては使いやすいけれど好んでいく場所ではない」という感じのやや渋めの顔。渋谷や池袋ほどではないけど、できるだけ避けたいというような駅で、街もさることながら駅近くの混み具合はなかなかのもので、上京したてのときは駅近くの3Dの猫にも苛立ちうる。


しかし新宿といえば、東京にゆかりをもった過去二年で、みるみると評価を上げていった場所であった。


まず新宿御苑がある。意外と行ったことない人がいるんじゃないかと思って話す。新宿3丁目ほうめんを少し歩いたその先にある、広大な、園。まずは四月なのだろう。おすすめするならば四月。中には大きな芝生があって、寝転んだり、風の音を聞いたりできる。土日は人は多くなるけれどそれでも快適だ。可能なら平日の午後にいってみるといい。人が少な過ぎず多過ぎず、ここが新宿であることを忘れるくらい人が脇目をふりながら歩いている。首都圏3000万人のひしめくなか、快適な空間が提供されている。


さらに重要なのは花園神社だ。花園神社は芸能にまつわる神社として有名らしく、それと関係があるのかはわからないけれど又吉直樹さんのエッセイでも名前が出てくる。彼がまだ若かった頃、終電がなくなってから境内で仲間と飲んでいたそうで、はじめて名前をみたのは『東京百景』という本の中だったと思う。


実際にいってみると穏やかな場所だ。まるで結界が張ってあるかのように静かで、石造りの階段で座って談笑している新入社員や、夜の東京観光に来た外国人の方々が赤く映える神社を撮っていく。真裏には新宿ゴールデン街があり、そこで飲んでから、酔いをさましながら友達と喋るのも楽しい。ときどき、神社で遊ぶなんてと怪訝な顔をする人が現れるのだが、神が本当にいるとするなら当たり前に許してくれるはずだろう。神をなめてはいけない。神は人間よりも心が広いのだから。


周りに人がいることがわかっているのも良い。歩いていたら突然肩に手を置かれて「居酒屋どうすか?」と聞かれるようなけったいな街・東京で、ひとりの神社はさらに心細いけど、この神社は適度ににぎやかだ。そういえば、歳の離れた、例えば20歳くらい上の友達を花園神社に誘うのは流石に遠慮してしまう無意識があり、もし次回わたしに会ったら二次会はさりげなく花園神社に誘導してほしいとも思っている。



角曲がるたび、風に出会う頬すこし火照りゆくなり梅の香のして/花山周子『風とマルス』



東京をしばらく離れた今思うのは、そのようなことである。

 
 
 

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