今、ここ、どこか23 Rin
- 川上 まなみ
- 8 時間前
- 読了時間: 3分
風邪 長谷川麟
十二月初旬。ブラジル出張中のこと。水曜日の朝、喉の激しい痛みで、朝食が喉を通らない。思えば、昨日の夜も激しい喉の痛みで何度も夜中に目が醒めていたことを思い出す。乾燥していたからなのか、それとも昨日の飲み会の際にブラジルのメンバーに勧められて飲んだCaipirinhaが良くなかったのか、その他、多くの謎のお酒もたくさん飲まされたから、そのどれかにヒットしてしまったのか・・・。理由はさておき、今日も朝からプレゼンがあるので、なんとかプリンとヨーグルトとくちにして、会社に向かう。
午前中の山場を乗り越えて、ふと気が緩んだとき、「あれれれ?」という感じで、一気に身体の不調を予感する。身体の節々、関節が痛い。関節が痛い? 関節が痛い、と言うことはもしかしてインフルエンザ? 直感的にやばいと感じたので、とりあえず午後からホテルに帰る。ポカリスエットを飲んで、厚着をして、一日布団にくるまって眠る。汗をかくだけかいて、明日の朝までに体調を必ず治さなければならない。この出張でやらなければいけないこともたくさん残っているし、ブラジルの医者にかかるなんてことは想像もしたくない。できうる限りの策を講じて、なんとか翌朝には出社が可能なレベルに回復することができた。
その週は、木金となんとか仕事を完遂して、金曜の深夜便で、ブラジルからアトランタに帰国する。飛行機は九時間の旅。岡山から東京までの夜行バスだと考えれば、無理でない。無理ではないけれど疲れは取れない。ましてや、アトランタは冬だが、ブラジルは夏で、気候の変動に身体も追いついてこない。この時点で、結婚記念日のごはんは諦めるべきだったと、三〇歳になったこの身体は今までのように付いてはこないということに気づくべきだった。
帰国後、結婚記念日を二人で祝う。妻が美味しい和食屋さんを予約してくれている。久々に本格的な日本食をいただいた。良い記念日だった。良い記念日だったけど、ここで体力の限界となってしまい完全にノックアウト。本格的に風邪をこじらせて、一週間ほど会社を休むはめになった。コロナやインフルエンザを除いて考えると、小学生振りの二十年振りの風邪ではないだろうか。鼻水と痰のせいで、うまく呼吸ができず、脳に酸素が巡らない感じで思考がまとまらない。睡眠も不十分のせいか、昼夜を問わず強い睡魔に襲われる。しかたがないので一日を布団の中で眠って過ごす。母に甘えていた子供の頃も懐かしい。まだ昔の家で、土壁をほじると穴が開いた。
ぼんやりした意識の感じ。体感というのは不思議と忘れてしまうものだというのがちょっと恐ろしい。短歌をしていなければ、風邪を患うという感覚を思い出せて嬉しいだなんて思うこともないだろう。ちょっと自分をキモいと思う。
たすけて枝毛姉さんたすけて西川毛布のタグたすけて夜中になで回す顔/飯田有子『林檎貫通式』






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