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今、ここ、どこか41 Manami終

  • 執筆者の写真: 川上 まなみ
    川上 まなみ
  • 6 日前
  • 読了時間: 3分

ぐるぐる 川上まなみ

 

 アイルランドに居たことがもう夢だったかのような、そんな日常を過ごしている。この企画は、「4人がそれぞれの国で生活していて、そのことを書こう!」という趣旨で始まったのに、始まったときにはもう私は帰国していた。


 アイルランドに行って三か月経った頃の日記がある。

 


「海外に来てからといって人生観が変わるわけでも、性格が変わるわけでもなく、私は私のままで暮らしている。相変わらず。英語が話せるようになっている自覚は無いけれど、センター試験のための勉強をしていたときのような、長い英文を読むことに対しての強い拒否感は無くなり「分からないけれど読んでみるか」という感じで取り組めるし、英語が分からないことに焦らなくなった。


 ただ、ここ数日、「私はここに何をしに来たのだろう」と考え込んでしまう。よくあることらしい。海外に来たのはいいものの、「英語を勉強した先」に明確な目標があるわけではないし、どんな仕事をするにしても(とはいっても、こちらは住んでいる人に対して仕事の数が少なく、椅子取りゲームのような状態なので仕事を選んでいる余裕はない)「この仕事しか見つからなかった自分」と「この仕事をしていていいのか、日本に帰ったほうがいいのではないか」と思う自分がいて、ぐるぐると意味のないマイナスな思考を繰り広げてしまう。」

 


 アイルランドに行っても、私はぐるぐると考えていたのだな…と思う。私はよく考える。私の生き方のこと、今日使った言葉のこと、授業のこと、生徒のこと、お金の使い方…ぐるぐる考えて、途中ではっとする。「今考えても答えは出ない!」「今考えてたらだめだ!」それでいったん思考を止めるのに、ちょっとするとまた考えてしまう。私はぐるぐるぐるぐる考えるのが好きなのだ。考えても答えが出ないのに。

 

 それなのに考えてしまうことを止めない私は、こうやって文章を書いたり短歌を書いたりすることで何かを消化できるようになった。書くことが好きなのは、考えることが好きだからだ。昨夜、私のnoteを読んでくれている同級生が、「お前は、あれ何のために書いてんの?誰かに見せるため?自分のため?」と不思議そうに聞いてきて(彼に悪意は全くないのだが、そう聞こえてしまう言い方に、他の同級生は笑っていた。私も笑った。)結構困った。


 誰かに「見て―!」とやっているような気もするし、このぐるぐるを文章にすると楽しいからのような気もする。私が0.2秒かけて出した結論は、「あわよくば、あれが本になったらいいなと思っている!」だった。あまりにも私が勢いよく断言したので、同級生は妙に納得するしかなくなってしまい、「ああ、なるほど。いやあれ結構面白いからもうちょい頑張って書いて。」とお世辞なのか本心なのかそう言ってくれた。


 そしてまた私は「本になるとか現実的ではないことを言ってしまった」とか「何のためか、格上で相手意識が足りないのかも」とか「ほかに一番良い答えはなかったのだろうか」とか考えてしまうのだった。

 

 ぐるぐると考えることを文章にしながら、私は今日も短歌を作り、文章を書き、国語の授業をするために教室に立ち、締め切りと戦いながら子どもたちと戦いながら(?)自分と戦っている。時々英語とも戦う。この日常を変えたくてぐるぐるとしている、この感情がちょっと愛おしくて、だから私はこの人生がけっこう好きだ。

 

境界のない感情を引き受けて青い屋根から鳥が沸き立つ/霧島あきら「降りる」『短歌研究 2026年7+8月号』

 


 
 
 

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