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今、ここ、どこか44 Yuuki終

  • 執筆者の写真: 川上 まなみ
    川上 まなみ
  • 7月11日
  • 読了時間: 3分

2026年6月の日記 平尾勇貴



2026/06/XX

駅のフラッパーゲートを抜けて今住んでいるマンションまで歩いてゆくその道中がもっとも考えごとがはかどる時間で、この日は何となく、ひとつの空間で数年前に流行った「遺伝的アルゴリズムで最高にエッチな画像を作ろう!」というインターネッツお遊びのことを思い浮かべながら、もうひとつの空間で塚本邦雄の〈絶唱にちかき一首を書きとめつ机上突然枯野のにほひ〉のことを考え……、絶唱、名歌ね、名歌というものが仮に歌人の総意で決まるなら、ランダムに31音になるように言葉を並べて、歌人と自負する人全員でABテストをしてより名歌だと思う方を選んでいけば、試行回数を一万回くらい繰り返した頃には日本語を解する人類が民主主義的に選んだ最高の一首が遺伝的アルゴリズムで決定するはずだ。


2026/06/XX

ネットプリントをまともに出せた試しがない。今週は本業の仕事でストレス負荷が高まっており、ネットプリントを出すためにコンビニに寄ることを忘れてしまう。家に帰宅しても本も読まず映画も見ず、毎日のようにそのまま区民プールで1時間くらい泳ぐという生活をしている。二十代後半には自分の意志力、というか精神性に期待するのは諦め、カフェイン、GABA、クレアチン、L-チロシン、テアニン……という機能性成分を含んだサプリメントをコマンドのように摂取し、化学物質を用いて自身に働きかけ、ありとあらゆることを解決してきた。プールで泳げば脳のリソースを身体制御に向けることができ、しかもエンドルフィンとかエンドカン……何とかという合法マリファナみたいなやつが勝手に脳内で合成されるので、わたしは幸福になる。ネットプリントは相変わらず出せない。


2026/06/XX

あるいは言語表現全般を身体に対する指示書として一元化するという山本浩貴の認識を踏まえれば、これまでとは別のかたちで言語との蜜月関係が結べるのではないかという期待をもつが、しかしそのためにはおそらく言語で書かれてあることを真に受ける必要がある。真に受けるのはむずかしい。言語だから、というより、普段の対人コミュニケーションで相手の言っていることを真に受けるということがどうやってできるのかが、実はあんまり分かっていない。


2026/06/XX

手元に、「水の中で見る夢 vol.2」、「船室vol.2」、「鬼ごっこ 1」、「Neo troche」、「レイ/SHEPHERD」、「レストランズ」など……。


2026/06/XX

EvenG2というスマートグラスが本当に素晴らしい。


2026/06/XX

先月ご飯を食べていたら会社の同僚たちとの会話でディズニーに行こうという話題が生まれ、それが実現する方向に向かい、わたしは喜び、数週間が流れ、当日を迎え、わたしは朝の6時に起き、6時半に家を出、7時にはディズニーランドのゲート前で並んでいた。ディズニーだ。これがディズニーか。人生初だったのだけどメンバーは年パスフル活用のDオタが複数いる強めのメンバーで、プライオリティパスやらプレミアアクセスやらを熟練した技術で使いこなし、空き時間にちょうどご飯が食べられるようモバイルオーダーで調整し、そうか決められた枠とルールのなかで充実度を最適化させるゲームか、ということを理解してから、あ、これおれが好きなテトリスと一緒だ、と気付いて楽しくなってきた。テトリスは好きです。後日共有された写真には、イッツ・ア・スモール・ワールドの前でミッキーグローブのカチューシャを着けたにこにこのわたしが写っていた。


2026/06/XX

出先でチャースポを借りたまま家に帰り、そのままチャースポ自体が脳内タスクリストから跡形もなく消え、数日経って鞄の底から発掘され、げ、まじか、やっべー、半泣きのげっそりした気持ちで延滞料払って返しに行きがちという問題を、傾向と、対策、そこでチャースポのサブスクに加入することで解決した、おれってなんて天才なんだ、いま手元には三台のチャースポがある。


2026/06/XX

短歌でおれが本当に興味あるテーマは私性と文体です。

 
 
 

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